2019/03/07

発達障害を抱える人は二次障害で依存症に?|依存症と発達障害の関連性

「ゲームにのめり込むようになった娘、ゲーム依存症だけでなく発達障害も持っていると診断されました...。」

 

「アルコール依存症で会社に行けなくなった息子が発達障害とも診断されました...。」

あなたはこうお悩みかもしれません。

 

発達障害は2012年の文部科学省の調査において、「通常学級で6.5%程度在籍する」可能性があると推定されています。そして、周囲から過度な叱責や不適切な態度をとられ続けることで、二次障害を生じ、「依存症」を併発するケース、うつ病等の精神疾患を併発するケースなどが報告されています。

 

あなたの身近な誰かは「発達障害もしくは発達障害の疑い」があり、依存症も同時に抱えているのではありませんか?

 

この記事では、発達障害についてと依存症との併発について、そして周囲の対応方法についてご紹介します。

 

目次

 

1. 発達障害の定義と二次障害について|二次障害を経て依存症へ?

発達障害と依存症との関連を説明する前に、まずは発達障害とその二次障害について詳しく紹介します。

 

発達障害とは、文部科学省で2004年に公布された「発達障害者支援法」において「自閉症,アスペルガー症候群その他の広汎性発達障害,学習障害,注意欠陥多動性障害その他これに類する脳機能の障害であってその症状が通常低年齢において発現するもの」と定義されています。

 

発達障害は「親の愛情不足だ」「本人のわがままだ」とみられがちですが、健常者とは脳の中枢神経系に何らかの違いがあるためだと考えられています。

 

具体的には発達障害がある人は、コミュニケーションや対人関係をつくるのが苦手です。

「この人変わっているな...。」「この人わがままだな...。」

と思われがちな方の中には発達障害を抱える人もいるかもしれません。

また、発達障害を抱える当事者はその特性が周囲に理解されにくい場合があります。

 

例えば、現役教師の方などにお話を聞いてみると、「ADHD」や「ASD」を抱える子たちとの接し方で「彼らの困りごとに上手に寄り添えているのだろうか」と不安になったり、悩むことがあるそうです。

 

発達障害を抱える人は、幼少期から周囲の人たちに正しい対応してもらえない場合があります。そうした際に「二次障害」が生じるケースが生じます。

 

二次障害とは「周囲の理解不足による否定的な態度をにより、発達障害者が否定的な自己イメージを持ち、情緒が不安定、深刻な不適応を起こすこと」を指します。この二次障害ですが、うつ病等の精神障害だけでなく依存症を併発することでも知られています。

 

ADHDとその他の精神疾患の併発について、Kesslerさんという方の研究(2006)があります。
彼の研究によれば、気分障害患者の 13.1%,不安障害患者の 9.5%,物質使用障害患者(依存症のことです。)の 10.8%が ADHD を併存することが指摘されています。つまりこの研究では、ADHDを持つ方が二次障害によって精神障害を併発する可能性について述べています。

 

発達障害を抱える人が「生きづらさ」から依存症を併発するケースがあるのです。

 

2. 発達障害の種類と依存症との関連性

発達障害から依存症を併発する要因は様々です。ここからは、発達障害と依存症の関連や、なぜ依存症になるのかを順番に見ていきましょう。

 

①二次障害として、「苦しい気持ちから一次的に逃れるために依存症になる」

発達障害のある子どもはその障害特性により以下の経験をする場合があります。

・課題にうまく対応できない

・「いじめ」や「からかい」を受ける

・何をすればよいかわからない

・自分の意図が相手にうまく伝わらず、その言動が否定される

 

こうした場合、彼らは自己肯定感が下がり、「自分なんて...」と自分自身を否定してしまいがちです。その苦しみから逃れるために、何かに依存してしまうケースがあります。

②ADHD等の障害特性により、依存物質にのめりこみやすい

発達障害、とりわけADHDの人はそうでない人に比べ「ドーパミンが不活性である体質」である可能性が報告されています。

 

そのため通常の刺激では報酬系が十分に活性化せず、周囲の承認や賞賛がその人の学習や頑張りのエネルギーにつながらない可能性があります。そのため、強烈な刺激を求めて薬物を1次的に使用した結果、薬物依存症になってしまうケースもあると報告されています。

 

ADHDやASDと依存症の関係については以下の記事を執筆しています。こちらもぜひ参考にしてみてください。

 

ADHDの方は依存症になりやすい?|生きづらさと二次障害について

 

ASDの二次障害で依存症も?|当事者の生きづらさを克服するには?

 

3. 発達障害と依存症が併発する場合の治療法

ここからは発達障害と依存症が併発する際に、実際に病院などで行われている治療法のついて一部ご紹介していきます。

①認知行動療法

・ある出来事に対する『身体の反応』(例えば発汗・動悸など)

・どのように考えるかという『認知』

・出来事に対して持つ『感情』

・実際に起こる『行動』

という人の反応の4つの側面の中で、本人がある程度意識してコントロールできる『認知』と『行動』に働きかける治療法です。うつ病の他、パニック障害などの治療にもよく利用されます。

 

発達障害を抱え依存症になっている人の中には二次障害を抱え、自己否定しがちな人もいます。そのため認知行動療法によって、自己の見方を変えていく必要があります。

②カウンセリング等の支持的心理療法

発達障害で依存症を抱えた人の多くは二次障害を抱えています。そして、これらは周囲とのすれ違いや過度な叱責により生じたもので、当人にとっては「心の傷」である可能性が高いです。これらは支持的カウンセリングで心の傷を癒していく必要があります。

③薬物療法

発達障害の治療にも、依存症、もしくはその他の精神疾患が併発している場合それらの症状を緩和させるために薬を投与するケースもあります。

 

4. まとめ

今回の記事では、発達障害を抱えた人と依存症との関連性についてお話していきました。

 

改めて内容を整理したいと思います。

 

  • ①発達障害とは、「その人のわがまま」によるものや、「親の愛情不足」に起因するものではなく、脳の何らかの機能の違いによっておこるものです。

  • ②発達障害によって、周囲から不適切な対応をされることにより二次障害を引き起こし、その結果依存症になる可能性があります。

  • ③発達障害を抱え、依存症を併発する人は治療を行うことで、以前から抱えていた「生きづらさ」が緩和されるかもしれません。

 

私たちヒューマンアルバでは、単なる依存症治療にとどまらず、依存症を抱える当事者が「過去から抱えている苦しみ」に寄り添い、依存症当事者がこれらから「生きやすく」なれるようにサポートをしております。そして依存症を抱える当事者だけでなくその家族の支援を行っています。

 

一人で、もしくは家族だけで悩まず、ぜひ私たちのような専門機関を頼っていただけると幸いです。

 

そして何より、この記事をお読みのあなたが少しでも明日に希望を持てますように祈っています。

 

お問い合わせはこちらから:https://human-alba.com/contact/

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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会を開催しております。

依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。

 

・つらい思いを吐き出す場として

 

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ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)

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参考:

通常の学級に在籍する発達障害の可能性のある特別な教育的支援を必要とする児童に関する調査

 結果について(2012) 文部科学省初等中等教育局特別支援教育課

・『発達障害者支援法(平成十六年法律十二月十日法律第百六十七号)』(2004)

佐藤正恵・菅原由香(2011) ADHD児の自己評価とその原因帰属に関する検討 岩手大学人文

 社会科学部紀要 第88号 19-30

飯島恵(2005) 軽度発達障害児の問題点と対応―ADHD(注意欠陥多動性障害),アスペルガー

 障害を中心としてー 順天堂医学 51 P501− 508

・片桐正善(2011) 自閉症の定義における「社会」概念の変遷について ースペクトラム概念の

 可能性に照準してー応用社会学研究  立教大学

Bozkurt H1, Coskun M, Ayaydin H, Adak I, Zoroglu SS.(2013) Prevalence and patterns

 of psychiatric disorders in referred adolescents with Internet addiction.PClin Neurosci.

Kessler, R. C., Adler, L., Barkley, R., Biederman, J., Conners, C., Delmer, O., Faraone, S.,

 Greenhill, L., Howes, M., Secnik, K., Spencer, T., Ustun, T., Walters, E., & Zaslavsky, A.

 (2006). The prevalence and correlates of adult ADHD in the United States: Result from

 the national comorbidity survey replication. American Journal of Psychiatry, 164, 716-

 723.

認知行動療法、深刻なうつにも効果 ―重いうつにも投薬以外の治療選択肢を示唆― (2017)

 京都大学

・友田明美 (2017)『子どもの脳を傷つける親たち』 NHK出版新書 

・松本俊彦 (2018)『薬物依存症』 筑摩書房

 

ライター名: 松友萌