2018/09/30

「ゲーム依存症」の定義|ゲームをやるのは本当にわがまま?

「子どもが夜も寝ずにゲームをやっています。勉強もしないで学校にも行かないで怠けなのでしょうか?」

この記事をお読みのあなたは「ゲームばっかり」やっているお子さまがいて悩んでいる方でしょう。

そして「もしかしたら息子はゲーム依存症なんじゃないか?でもゲーム依存症の定義はなんだろう・・・。」とお思いかもしれません。

私は自分の弟が「ゲーム依存症」になり「ゲーム依存症の家族」の経験があります。私や私の母も、その頃は「ゲーム依存症」という言葉さえ知らず、「ゲーム依存症」の定義もわかりませんでした。弟が高校中退をしてから、「もしかしたら病気なのかもしれない」と気が付き、ゲーム依存症の定義を知り、弟がゲーム依存症になっていると気付きました。

今回のコラムでは、「ゲーム依存症」もしくは「ゲームばっかり」のお子さまをもつ方へゲーム依存症とは何か定義を説明します。この記事をお読みのあなたの気持ちが少しでも明るくなればと願っています。

目次

1「依存症」って?依存症の定義についてお伝えします。

2「ゲーム依存症」って?定義についてお伝えします。

3ゲーム依存症は「疾病」の1つです。

4当事者の声:「ゲーム依存症になった私の家族の話」

5まとめ:どうか一人で悩まず助けを求めてください。

 

1「依存症」って?依存症の定義についてお伝えします。

「『ゲーム依存症』って言ってるけど、いったいそれは何なの?」

「依存症って、アルコールとかギャンブルでなるもので、こんな若い10代の子どもには起きないのでは?」

あなたはこうお思いかもしれません。

でもそもそも、依存症とは何でどんな状態を指すのでしょうか?

簡単に言えば「特定の物質(アルコール・薬物)や行為や過程(ゲームをすること、ギャンブルをすること)などをやめられないこと」を言います。

また「依存症」は定義上2つに分類されています。

アルコールや薬物のような特定の物質への依存を「物質への依存」と呼び、

特定の行為や過程に必要以上にのめり込むことを「プロセスへの依存」と呼びます。

どちらもやめようと思っても止められず、いつも頭から離れないなどの症状があります。

なお、「依存症」の定義は、世界保健機構(WHO)で「精神に作用する化学物質の摂取や、快感・高揚感を伴う行為を繰り返し行った結果、さらに刺激を求める抑えがたい渇望が起こり、その刺激を追及する行為が第一優先となり、刺激がないと精神的・身体的に不快な症状を引き起こす状態」と明記しています。

「ゲーム依存症」は「依存症」の中でも「プロセスへの依存」に当たります。

2「ゲーム依存症」って?定義についてお伝えします。

そして、ゲーム依存症とは教科書的な定義において、DSMー5では「普通の生活が破綻するほどの、持続的かつ反復的なゲームへののめり込むこと」と明記されています。(DSM-5とは、米国精神医学会が発行する「精神障害の診断と統計マニュアル」をいい、精神障害等を診断する際に使用します。)

普通の生活の破綻として想定されるのは、

  • ・仕事をしなきゃいけないのにゲームをし続けてしまうこと

  • ・学校に行かず引きこもってゲームをやり続けてしまうこと

  • ・必要以上に(時に借金をしてでも)お金をゲームのために使ってしまうこと

  • ・ゲームをし続けるために睡眠や食事がおろそかになり、本人の健康が害すこと

  • ・ゲームをするために家族やパートナーに嘘をつくこと

などが考えられます。これらは本人を苦しめ、将来の生活が破綻してしまうばかりか、周囲の家族の不安や苦しみにもつながります。

例えば、

・本人がゲームをし続け、睡眠不足や栄養不足で体調を崩してしまう

・ゲームをし続けた結果学校に行けなくなり退学になる(私の弟がそうでした)

家族の立場からは、

・お子さまがゲームにお金を使いその肩代わりをする

・ゲームをやりたい気持ちからお子さまに嘘をつかれ傷つく

などが考えられます。

これらの行動に当事者の家族は傷つくかもしれません。しかし「ゲーム依存症」は疾病の1つなので、誰が悪いということもありません。ゲーム依存症は疾病で病気なので、本人のわがままや意思が弱いために起こったものではありません。

3ゲーム依存症は「疾病」の1つです。

では、「ゲーム依存症」は疾病の1つだと言いましたが具体的にはどんな診断基準があるのでしょうか?

2018年6月、WHOが作成するICD(国際疾病分類)から「ゲーム障害」という名前が登録されました。ICDによる診断基準としてゲーム障害(依存症)は以下の4つの症状が12か月継続している場合、診断されます。

臨床的特徴

    • ①ゲームのコントロールができない

    • ②ほかの生活上の関心ごとや日常の活動よりゲームを選ぶほどゲームを優先する

    • ③問題が起きているがゲームを続ける、または多くゲームをする

重症度

    • ④ゲーム行動のためにひどく悩んでいるまたは個人の家族の社会における学業上または職業上の機能が十分に果たせない

 

またゲーム依存症の症状に疾病から「イライラしやすくなったり、注意力・集中力がなくなる」との報告もあります。(その他、「ゲーム依存症の症状」について気になる方は弊社でもコラムを執筆していますのでご参考にしてください。)

この記事をお読みのあなたは先ほどの診断基準とお子さまを照らし合わせ、「うちの子大丈夫かしら?」とお思いかもしれません。こちらの参考基準はあくまで参考であるため、少しでも気になる方は、専門機関を受診してください。例えば、「依存症外来の病院」「認知行動療法等ができるカウンセラーがいるカウンセリングルーム」「保健所や精神保健福祉センターなどの行政機関」などが相談機関として存在します。

 

4当事者の声:「ゲーム依存症になった私の家族の話」

 

ここまでは教科書的な説明や定義中心でしたが、ここから当事者の話をします。

「ゲーム依存症の家族」の立場として、お伝えしたいことがあるからです。

 

弟の経験、私の経験を通して伝えたいことは以下の4つです。

  • ・「ゲームばかり」にみえる行動にもそもそも「ゲーム依存症」という疾病が背景にある可能性があること。

  • ・当事者は「ゲーム依存症にある前」も「ゲーム依存症になった後」も苦しんでいて、本人もずっと苦しんでいること。

  • ・家族である私は、常に「弟に何もできていない」というもどかしさを抱え、苦しい思いがあったこと。

  • ・適切に第三者に頼ることで、「ゲーム依存症は回復する」こと。

 

私の弟がゲーム依存症になったのは彼が当時高1の時です。

それまではゲームをやることもありましたが、もともと弟はゲーム以外にも生活の中で楽しみがあったため、ゲームにはまるということはありませんでした。

 

高校に進学し、進学校に進み勉強量が多く、彼は常にストレスを抱えていました。また部活動での複雑な人間関係に傷つき、対人恐怖も抱いていました。不安やストレスから現実逃避するようにゲームをはじめたと言います。

 

ゲームをすると、クリアした時の爽快感やゲーム上に居場所感があったと言います。当時弟はオンラインゲームをしていましたが、オンライン上でコミュニケーションをしていました。弟の当時の友達はネット上の友達が中心だったそうで、友達と会話するためにもゲームを続けていました。

 

また、ゲームをやり始めた頃、弟は学校に行けていない不登校の状態でしたので、母が弟に「ゲームしないで学校に行きなさい」と叱ります。その声が怖くなり、「イヤホンをして」ゲームに没頭すしゲームが止められないという悪循環になっていきました。ゲームをやめれば、「母の叱る声が聞こえる可能性があるから」です。

 

そのうちに昼夜逆転してしまい、ご飯もろくに食べずにゲームをし続けました。最終的に学校に通えなくなり、出席日数が足りず高校中退をしてしまいました。

 

この頃になって母は「学校に行きたくないからゲームをしているわけではなく、何か理由があるのだ」と気がつきました。ゲーム依存症の定義と照らし合わせ、弟の状態が「ゲーム依存症」だと気がついたと言います。

 

弟と母はその後、「依存症外来」を受診し、デイケアに通いました。最初は本人も通院を嫌がっていましたが、デイケアや診察を通し、人とのつながりを再び取り戻すうちに徐々に前向きになっていきました。

 

というのも、「依存症外来」では彼の今の不安や苦しみだけでなく、彼がゲーム依存症になる前の苦しみに寄り添ってくれる人がいたためです。また、デイケアに通うことで、ゲーム以外にも楽しみが見つかりました。そして、弟が、リハビリの一環でキャンプに行ったことをきっかけに少しずつ将来についても考えられるようになりました。

 

その後、「大学生になりたい」という夢を見つけ、高認を取得したり、高校中退を専門とする塾に通いながら大学受験をし、無事大学生になりました。今弟は大学に通いながらサークルに入ったり、バイトをしたり友達を作ったりと充実した生活を送っています。

 

このようにゲーム依存症は、当事者も周りの人も苦しむ疾病ではありますが、適切に他者に助けを求めることで回復する疾病でもあります。

 

私は「ゲーム依存症」で苦しむ当事者にも、家族にも「一人で(家族だけで)悩まないで」ほしいですし、「適切に助けを求めれば治る病気」であると改めて伝えたいです。

 

5まとめ:どうか一人で悩まず助けを求めてください。

  • ①依存症とは「何かの物・過程・プロセス をやめたくても止められない状態」のことを言います。そして、ゲーム依存症とは「普通の生活が破綻するほどゲームにのめり込むこと」を言います。

  • ②「ゲーム依存症」疾病で「誰かの怠けや弱い心」が引き起こすものではなく疾病です。当事者一人で、家族で抱え込まず第三者の助けを借りて欲しいです。

  • ③第三者機関として「依存症外来の病院」「認知行動療法等ができるカウンセラーがいるカウンセリングルーム」「保健所や精神保健福祉センターなどの行政機関」です。

ゲーム依存症は精神障害です。そしてゲーム依存症当事者はゲーム依存症になる前から苦しさなど心の痛みを抱えている可能性があります。その心の痛みから1時的に逃れるために、つらさを忘れるために、ゲーム依存症になっていったのです。そのため、ゲーム依存症の単なる治療にとどまらず、依存症になる前から抱えていた心の痛みを癒していく必要があります。

 

私たち、ヒューマンアルバでは依存症回復に向けた無料相談を行っています。私たちの施設では、依存症の当事者やその家族として依存症を体感した経験を持つスタ ッフがゲーム依存症の方やご家族一人一人に寄り添った対応を行なっています。

  • ・うちの子はゲームばかりで…。もしかしてゲーム依存症なのでしょうか?
  • ・なんだかよくわからないけどつらいんです。

どんな小さなお悩みも、あなたの意見を尊重しながら、回復に向けて共に歩んでいきます。 お気軽にご相談ください。

これを読んだあなたが少しでも自分を責めず、未来に希望を持てればと願っています。

 

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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会』を開催しております。
依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。

・つらい思いを吐き出す場として

・状況を変えていく学びの場として

ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)
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参考文献

ブルーナー・オリヴィア&ブルーナー・カート(2007)子供をゲーム依存から救うための本

樋口 進(2018)スマホゲーム依存症

第 40 回日本アルコール関連問題学会 学生・市民セミナー ネット依存、スマホ依存とその取組み 

「ゲーム依存の実態と課題」(視点・論点)