2018/07/10

家族が依存症なら…。説得に効果的な5つの方法|CRAFTってご存知ですか?

家族/説得/依存症

日本の依存症患者の人数がどれくらいか想像できますか?

アルコール依存症、ギャンブル依存症、薬物依存症のそれぞれの推定される依存症患者の合計は少なく見積もっても、180万人を超えます。

アルコール依存症の方は2013年の調査では、107万人いると推定されています。ギャンブル依存症は平成29年に行った大規模調査では、「過去1年にギャンブル依存症であると推定される患者」は約70万人いると推定されています。薬物依存症は10万人いると推定されています。このように依存症は決して珍しい病ではないのです。

 

依存症は心の生きづらさを元に発症する病。
その生きづらさを解消のために特定の物質(または人や行為)に頼りすぎてしまうのが依存症です。

あなたはご家族に依存症の方がいらっしゃるのではないでしょうか?
依存症は適切に第三者を頼ることで克服できる可能性の高い病気です。この記事では、依存症の家族に向けて、「依存症当事者が治療の決意ができるために家族ができること」をお伝えします。この記事をお読みのあなたや依存症当事者の方が少しでも気持ちが楽になり、将来の1歩を踏み出せますように祈っています。

 

目次

1依存症治療の説得ができない?「否認の病」依存症とは?

依存症当事者が苦しんでいる時、家族が「病院に行ってみない?」と声をかけても、「俺は依存症なんかじゃない、やめようと思えばいつでもやめられる!」と強く否定されることは少なくないと思います。

依存症は否認の病と呼ばれています。
具体的に否認の例を挙げてみましょう。
1 アルコール問題があることの否認
→「アルコールは体にいいんだ!飲んだって大丈夫」

2 アルコール摂取はコントロールできるという否認
→「アルコールなんていつだってやめられるんだから。ちょっとくらい大丈夫」

このように、依存症当事者の家族がいくら説得しても当人から否認されてしまう可能性があるのです。

ではいったいどうしたら彼らに家族の気持ちは届くのでしょうか?

2依存症の家族への説得のコツ(CRAFT)

依存症の家族が依存症当事者を説得する方法として、CRAFTと呼ばれる技法があります。
CRAFTは『コミニティー強化と家族トレーニング』とよばれ、家族や周囲者が依存症当事者への関わり方を変えることで、本人との関係性を変え、依存症当事者がより良い選択やよりよく生きられるようにサポートするコミュニケーションの方法です。

CRAFTではいくつかの特徴的なコミュニケーションが存在します。

1「私」を主語にした言い方

私は○○だとおもうのようなコミュニケーションをとると自分の意見を伝えやすくなり、さらに受け取りての相手も自分が何をすればいいのか分かりやすく伝わります。

具体例を挙げましょう。

「あなた、飲みすぎよ」とアルコールを飲みすぎている旦那に伝えるとき、「私」を主語にした伝え方は「私はあなたが飲みすぎじゃないかと心配なの…。」のようになります。
自分が心配しているという気持ちや、自分が相手が飲みすぎていると思っているという気持ちが伝わります。

2肯定的な言い方

「○○しなかったら、○○になるわよ」という言葉は相手を責める表現につながる場合もあります。相手も非難されたり責められることで気持ちが落ち込んでしまい治療する決意ができないかもしれません。

具体例を挙げましょう。

「お酒をやめないといつか死んじゃうわよ」のような言葉かけも、「今お酒をやめればきっとこれからも生きていけるわ大丈夫よ」の言葉かけをすることで、依存症当事者も治療の勇気が湧くかもしれません。

3具体的に言う

あいまいないいかや抽象的な言い方をしても、相手には自分の意図が伝わらない可能性があります。例えば「少しは私の気持ち考えてよ、言わなくてもわかるでしょ」などはイライラするとつい言ってしまいがちですが、受け取り手は、自分がどうしていいのかわかりません。
そのため、具体的にしてほしいこと等を言いましょう。

4簡潔に言う

だらだらと言われると、依存症当事者もずっと攻め続けられている気がして耳をふさぎたくなるかもしれません。そのため、一言、二言で言えるようになりましょう。

5支援を申し出る

「相手を心配している」、「相手を思っている」というスタンスで、支援を提案します。
「私にできることがあったら力になりたいの…」というスタンスで、相手に治療を受けないか提案してみましょう。

これらのようなコミュニケーションを意識することで、格段に依存症当事者が治療を決意できるといいます。

とはいえ、依存症の家族だからこそ、当事者にこのようなコミュニケーションを意識して伝えることができるのだろうか…。と不安になる気持ちもわかります。私も以前「依存症の家族」だった経験があるからです。こうした説得を家族やおひとりで抱え込む必要はありません。
「どう治療を切り出せばいいか分からない…。」「依存症当事者に治療についてどう説得すればいいんだろう…」と等悩んだときは、第三者を頼ってください。
(私たちヒューマンアルバでも無料相談を受け付けています。依存症当事者をもつ家族だけの相談でも大丈夫です。ご家族一人ひとりに合ったご提案もできますのでお気軽にご連絡ください。)

 

また、CRAFT以外にも実際に依存症の家族が依存症当事者に行い、うまくいった説得のケースがいくつかあります。そのケースの1例をいくつかご紹介します。

  • ・いきなり「病院に行かないとダメ」のようには言わず、まず「診察を受けてほしい」と話す。病院や治療などの言葉を避け、「相談に行ってみないか」という言い方をするのも良い方法。
  • ・自助グループやリハビリ施設を勧める場合にも、「一度だけ見学してみようよ」、「ためしに行ってみない?」のような言い方をすると良い。
  • ・何がなんでもイエスと言わせる姿勢ではなく、さりげなく誘う。
  • ・家族がすでにその病院や自助グループについて知っているなら「話しやすい先生だ」「その会では、何も言わずに他の人の話を聞いているだけでも大丈夫」など、本人が安心できるような情報を伝える。

これらの説得も意識しつつ彼らと関わってみて下さい。

 


3まとめ

  • ①依存症は否認の病です。依存症当事者は依存症を認めない場合があることを知ってください。
  • ②依存症の家族を説得するスキルとして、CRAFTの技法をうまく使いましょう。具体的には、肯定的な表現のコミュニケーションを増やす、簡潔に伝えるなどの視点を大事にしましょう。

 

依存症は心の病気です。
以前の生き方では無理があり、心の痛み・苦しみに耐えられなかったからこそ、本人は依存行動を繰り返し依存症に陥ってしまったのです。そして、依存症になる前もなった後も苦しみ続け、その苦しみから当事者は「依存症ではない」と否認し続けます。
依存症は完治できませんが第三者を頼ることで十分回復できる病気です。

私たち、ヒューマンアルバでは依存症回復に向けた無料相談を行っています。
私たちの施設では、依存症の当事者やその家族として依存症を体感した経験を持つスタッフが依存症の方やご家族一人一人に寄り添った対応を行なっています。
・治療を受けさせたいのに本人が行きたがらないんです。
・怖い…助けてください。
どんな小さなお悩みも、あなたの意見を尊重しながら、回復に向けて共に歩んでいきます。
お気軽にご相談ください。

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ヒューマンアルバでは、定期的に『家族会』を開催しております。
依存症者を回復につなげるためには、まずご家族が対応を変えていく必要があります。

・つらい思いを吐き出す場として

・状況を変えていく学びの場として

ぜひ、ご活用ください。 (お申し込みはこちらから)
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出典:

アルコール依存症に対する家族の効果的な対応の仕方
西田美香(2017)地域におけるアルコール依存症の治療や支援の実態及び課題 アルコール依存症に関わる専門職の語りからその対策を考える
アルコール・薬物・ギャンブルで悩む家族のための7つの対処法 CRAFT 吉田清次+ASK アスク・ヒューマン・ケア

参考:依存症推定人数

アルコール依存症:アルコール使用障害の治療目標

ギャンブル依存症:早野慎吾 (2018)ギャンブル依存症対策の現状

樋口 進・ 松下 幸生(2017)国内のギャンブル等依存に関する疫学調査(全国調査結果の中間とりまとめ)

薬物依存症:アルコール、薬物依存症患者の現状

 

ライター:松友萌