2019/01/25

アルコール健康障害対策基本法|改めて知りたい依存症と施行背景

アルコール健康障害対策基本法,法律,国会

アルコール健康障害対策基本法が施行されて早くも5年が経とうとしています。

 

実はこの法律。施行後の今では、私たちの身近なところも含めて様々な場面で広く運用されています。

 

しかし、皆さんの中には、アルコール健康障害対策基本法の中身はもちろん、その存在自体も初耳だった方もいらっしゃるかもしれません。

 

そこで今回は

 

『アルコール健康障害対策基本法とは何なのか』

 

そして、

 

『具体的にどのような施策が行われているのか』

 

について説明していきたいと思います。

 

目次

 

アルコール健康障害対策基本法,法律,国会

1.アルコール健康障害対策基本法とは?

アルコール健康障害対策基本法とは、アルコールによる健康障害やそれに関連して生じる様々な問題に対して、抜本的な解決を進めるために作られた法律です。内容としては、対策における基本理念や、国・自治体が持つべき責務が定められています。

 

これまで、日本には未成年飲酒や飲酒運転などを禁止する法律はありましたが、多岐に渡るアルコール関連問題を包括する法律というものはありませんでした。

しかしこのアルコール健康障害対策基本法では、アルコール依存症や未成年飲酒、妊婦による飲酒といった不適切な飲酒による「アルコール健康障害」と、これに関連して発生する飲酒運転や暴力、虐待、自殺といった「アルコール関連問題」を包括的に解決することを目指しています。

 

参考までに、アルコール健康障害対策基本法の本文を引用すると、基本理念は以下の通り定義されています。

 

基本理念 (第三条)

アルコール健康障害対策は、次に掲げる事項を基本理念として行われなければならない。

一 アルコール健康障害の発生、進行及び再発の各段階に応じた防止対策を適切に実施するとともに、アルコール健康障害を有し、又は有していた者とその家族が日常生活及び社会生活を円滑に営むことができるように支援すること。

二 アルコール健康障害対策を実施するに当たっては、アルコール健康障害が、飲酒運転、暴力、虐待、自殺等の問題に密接に関連することに鑑み、アルコール健康障害に関連して生ずるこれらの問題の根本的な解決に資するため、これらの問題に関する施策との有機的な連携が図られるよう、必要な配慮が なされるものとすること。

 

 

2.具体的な施策とは?

アルコール障害対策基本法の第3章では、アルコール健康障害とアルコール関連問題を解決するための施策として、国や地方公共団体が行うべき10個の基本的施策を掲げています。1つずつ順番に見ていきましょう。

 

①教育の振興等

家庭、学校、職場でアルコール健康問題について教育する。

②不適切な飲酒の誘引の防止

お酒の広告や販売方法に自主的な規制をしてもらう。

③健康診断及び保健指導

アルコール健康障害を防止するために、国や自治体が健康診断などを行う。

④アルコール健康障害に係る医療の充実等

アルコール依存症をはじめとした健康障害の治療や専門病院を充実させる。

⑤アルコール健康障害に関連して飲酒運転等をした者に対する指導等

飲酒運転、暴力、虐待、自殺未遂等をした者に対しても指導や支援を充実させる。

⑥相談支援等

アルコール健康障害の当事者やその家族への相談支援を充実させる。

⑦社会復帰の支援

アルコール健康障害の当事者が社会復帰できるように支援する。

⑧民間団体の活動支援

自助グループをはじめとした民間団体への活動支援を行う。

⑨人材の確保等

アルコール関連問題に関わる専門的な知識を備えた人を養成する。

⑩調査研究の推進等

アルコール関連問題の実態調査や治療方法の研究等を促進する。

 

また、政府や都道府県単位でも「アルコール健康障害対策推進基本計画」といったものが定められており、このような具体的な施策を通して、アルコール健康障害の発生、進行、再発の予防が行われています。

 

3.アルコール健康障害対策基本法の課題

2013年に行われた調査によれば、日本国内には約107万人以上のアルコール依存症の患者がいると言われていますが、その中で治療を受けているのは約4万人だとされています。アルコール問題は、依存症だけでなく、アルコール性肝疾患や未成年飲酒、飲酒運転、飲酒による暴行問題など、様々なケースが挙げられます。

 

アルコールに対する問題意識は日本だけでなく海外でも高まっています。2010年には世界保健機関(WHO)総会において「アルコールの有害な使用を低減するための世界戦略」が採択され、アルコール関連問題への対策に世界中の注目が集まりました。

 

アルコール健康障害対策基本法の施行によって、日本でもアルコールの問題に対する関心が高まっているのは事実ですが、まだまだ課題があるのも事実です。2018年7月26日の毎日新聞では、自治体によっては現場で取り組む人員が不足し、それによって組織体制が上手く機能しているとは言えないという内容の記事を出しています。

 

これからは、国や自治体レベルでの対策はもちろん、個々人がアルコール関連問題に対して対策をしていかなければならない可能性があります。

 

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4.まとめ

今回はアルコール健康障害対策基本法についてご説明させていただきましたが、いかがでしたか。今回の記事の要点をまとめると以下の通りです。

 

  • ①アルコール健康障害対策基本法とはアルコールによる健康障害や関連問題を包括的に解決 
  •  するための法律
  • ②教育や相談支援、医療の充実など、国や自治体レベルで様々な施策が定められている
  • ③アルコールによる健康障害や関連問題に対する注目は高まっているがまだまだ課題も存在する

 

アルコールによる健康障害や関連問題は決して他人事ではありません。国や自治体レベルではもちろんのこと、個人レベルでもその予防、対策に努めていくことが解決へと繋がっていくかもしれません。

 

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参考:

アルコール健康障害対策基本法 厚生労働省

アルコール健康障害対策基本法【概要】 厚生労働省

アルコール健康障害対策推進基本計画 厚生労働省

『いわて人模様 県断酒連合会長 竹中保夫さん(67) /岩手』毎日新聞

アルコール関連問題 特定非営利活動法人アスク

精神神経学雑誌オンラインジャーナル

 

ライター名: 田中瑞樹