2018/12/29

薬物依存症者は皆「シャブ山シャブ子」?  あまり知られていない本当の「薬物依存」の話

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117日、テレビ朝日の刑事ドラマ「相棒 シーズン17」で薬物依存症の中年女性が奇声を

発し刑事をハンマーで撲殺するというシーンが放送されました。

 

登場自体は1分程度だったのですが、その光景が衝撃的だったということもあり、Twitter

ではその女性が自称していた「シャブ山シャブ子」というワードが一時トレンド入りを果たす

ほどでした。

 

「薬物依存症者」と聞いて今この記事をご覧になって頂いている皆さんはどのようなイメージを

お持ちでしょうか?

 

「異常な行動が見られ常に挙動不審な人」

 

「幻覚や中毒に悩まされ会話が成立しない」

 

「元から狂っている自分たちとは違う世界の人たち」

 

 

この他にも様々なイメージを抱かれているかもしれません。

 

薬物依存症者の中には上記のような言動が見られる方も確かに存在します。

 

しかし、実際にそのような例はごく一部で、また異常行動や会話が難しい場合でも

それが継続しているとは限りません。

 

薬物依存症の問題は数々のメディアで取り上げられている一方、それに比例して

理解はされていないのが現状です。

 

今回はあまり知られていない本当の「薬物依存症」についてお伝えしていきます。

 

目次

 

1. 薬物依存症とはどのような状態を指すのか

薬物依存症とはどういった状態を指すのでしょうか。

 

厚生労働省では、

 

「薬物の効果が切れてくると、薬物が欲しいという強い欲求(渇望)がわいてきて、

その渇望をコントロールできずに薬物を使ってしまう状態」

 

と定義しています。

 

知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス  薬物依存症   厚生労働省

 

もう少し分かりやすく表現すると、

 

「薬物に依存することで社会生活に支障をきたす状態」と言えます。

 

近ごろは「薬物依存」に関するビデオ講習会などが小学校でも定期的に行われている

ため、もしかしたら今お伝えしたような薬物依存に関する理解は広く知れ渡っている

かもしれません。

 

しかし、上記のような定義の他に「薬物依存症」を理解する上で欠かせない

キーワードが3点あります。

 

それは、「乱用」「依存」「中毒」の3点です。

 

これらのワードを知ることではじめて薬物依存の全体像が見えてきます。

 

2. 実は知られていない「薬物依存症者」の実態

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薬物依存症は上の図のように「乱用」、「依存」、そして「中毒」といった流れで進行して

いきます。

 

乱用は「行為」、依存は「状態」、中毒は「依存状態で行われる乱用」をそれぞれ意味します。

 

実は「幻覚や妄想に囚われおかしな言動をとる」、いわゆる一般的な「薬物依存症者」のイメージは、

ほぼ全て「中毒」からきており、全ての薬物依存症者が奇異な言動をとるわけではありません。

 

薬物依存症者の中には、たとえ薬物を使用していたとしても日常生活を問題なく送れている

(ように見える)方や、普段の会話をスムーズにこなしている方もいらっしゃいます。

 

また最近では、学生による薬物使用や所持なども見られ、依存症の人たちが必ずしも私たちとは

無縁だと言い切れないのが実情です。

 

3. なぜ薬物依存に陥ってしまうのか

 

薬物を使用してしまう原因は複数考えられ、そこに至る背景も人によって様々です。

 

「遊び感覚ではじめたら抜けられなくなってしまった…」

 

「薬物が自分の身近にあった。」

 

など、薬物依存症状態の方々からこのような声をお聞きします。

 

 

一方で、

 

「孤独感から薬物に逃げてしまった。」

 

「人間関係に疲れ、気持ちを紛らわせるために使った。」

 

「仕事の疲れをとり、もうひと仕事頑張るために使用した。」

 

「仲間から薬を誘われ、断りづらく手を出してしまった。」

 

といった内容のご意見も伺います。

 

初めの回答には共感できない方もいるかもしれませんが、後ろの意見に関しては「分からなくも

ない。」と感じた方もいらっしゃるのではないでしょうか。

 

薬物の使用自体はもちろん違法ですが、薬物依存に至る背景を知ることで、また別の角度から

考えることができます。

 

それは、薬物依存になるまでに「孤独感」や「孤独になることへの恐怖」を抱えていることや、

「頑張らなきゃ」という焦りがあり、薬物依存症当事者も「葛藤」や「生きづらさ」を抱えていた

可能性があるということです。

 

薬物依存になる前もなった後もずっと、薬物依存症当事者は苦しんでいたのかもしれません。

 

さて、依存症は「脳の病気」とも言われ、そこから抜け出すためには継続的な治療、生活の

見直しが必要です。そして、周囲から誤解されがちの薬物依存症ですが、薬物依存症の克服は

十分可能です。一度依存症になってしまうと回復が見込めないような病気ではありません。

 

実際に薬物依存を克服し社会復帰している方もいます。

 

4. 薬物依存症の人たちに私たちができること

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「薬物」という言葉に対して、どうしても恐ろしいイメージを持ってしまうのは皆同じです。

 

ただし、テレビや新聞、雑誌で報じられるような「薬物依存症者像」には一部誤解が見られます。

 

今回のドラマで登場した「シャブ山シャブ子」の例も薬物依存症の方への偏見を助長する一例だと

思われます。

 

私たちのような依存症問題に取り組む事業者としては、誤った理解が社会に浸透してしまうことを

危惧しています。

 

依存症問題の当事者である人たちは、私たちと同じ人間です。いずれは社会復帰を果たすことに

なるかと思います。

 

そして依存症当事者だけでなく、家族も私たちと同じ人間で、依存症当事者が苦しんでいる様子を

みて、罪悪感や恥の感情を抱え苦しんできています。

 

そして、心の憶測では依存症当事者が幸せに生きていってほしいと誰よりも願っているのです。

 

そして、依存症当事者が社会復帰をするには、社会の寛容さやどのくらい正しい理解がなされて

いるかといった点は非常に重要です。

 

ご自身が薬物とは無縁でも、薬物依存症をなんとなくでも知っていると、それが過度な恐れや

不安を防ぎ、依存症者の方の回復や社会復帰の一助となります。

 

もし依存症に関して不明点があれば、ぜひ専門の民間組織や公的機関のサイトにアクセスして

みてください。

 

私たちヒューマンアルバでも依存症についての無料相談を行っております。

 

お気軽にご連絡ください。

 

5. まとめ

今回は薬物依存症に関して、その実態や私たちにできることについてお話していきました。

 

改めてまとめると、

  • ①薬物依存症には「乱用」「依存」「中毒」の過程が見られる

  • ②典型的な薬物依存症者のイメージは必ずしも実際の当事者たちには当てはまらない

  • ③「薬物依存」に関して過度に恐れず正しい理解をすることが大事

 

となります。

 

薬物依存症に関する記事は、私たちのサイトでも随時アップしているので、

ぜひそちらもご覧ください。

 

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電話でのご相談も受け付けております。

TEL: 044-385-3000 (受付時間:平日10:0018:00)

 

参考:

薬物問題 相談員マニュアル  国立精神・神経医療研究センター

知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス  薬物依存症   厚生労働省

・和田清 薬物依存の脳内メカニズム(2010) 講談社

・松本俊彦  『薬物依存症 【シリーズ】ケアを考える』(2018)  筑摩書房

 

ライター名: ブランコ先生