2018/10/27

パチンコ依存症はギャンブル依存症?治療法はあるのか?

パチンコは「単なる娯楽」だと思われがちなので、依存症と結びついていないケースが多く見られます。そのため、「パチンコをやめたい」と思っていても、依存から抜け出すための適切な対応をすることができず、治療法があることも認識されていません。

まずは、依存症のご本人もご家族も、パチンコはギャンブル依存症のひとつであるという認識をしっかり持ち、適切な治療を受けるようにしましょう。

このコラムでは、パチンコなどギャンブル依存症の治療法、また依存症者を抱える家族の方への対応についてご紹介します。

 

目次

1.『パチンコがやめられない』ギャンブル依存症とは

 ギャンブル依存症とは、パチンコや麻雀などにのめり込むことで日常生活や社会生活に支障が生じ、それでもなお、やめられない状態を指します。具体的には、例えばパチンコであれば、パチンコを打つために給料を全部使ってしまう会社員、大学の授業をさぼってパチンコを打ち、単位を落とし留年、もしくは大学中退をする大学生などが「パチンコにのめりこみ日常生活に支障をきたしている状態」です。

ギャンブル依存症とは、WHOでも病気として正式に認められています。

恐らくこの記事をお読みの方の中で、「パチンコはギャンブルではない」という趣旨の内容を耳にされたこともあるかもしれません。パチンコがギャンブルではないと言われる理由は、「違法性阻却」という法律に絡んだ内容から生じています。詳細は省きますが、パチンコは風営法の規制範囲内であれば、刑法の賭博罪に当たらないとされています。しかし、実態としてはパチンコ依存がギャンブル依存症という病気に該当するのも事実です。なので法律上はグレーであっても、病気の1つであるということに変わりはないということは覚えておきましょう。

 ギャンブル依存症かどうかの診断はアメリカ精神医学界のDSM-5の診断基準が有用です。なお、今回パチンコを辞められない人に向けてチェックリストを以下作成しましたので参考にしてください。

 

 DSM-5の診断基準から見るギャンブル依存症の診断基準

A 臨床的に意味のある機能障害または苦痛を引き起こすに至る持続的にかつ反復性の問題賭博行動で、この人が過去12か月間において以下のうち4つ以上を示している。

(1) 興奮を得たいために、掛け金額を増やしてギャンブルをする。

(2) ギャンブルをするのを中断したり、または中止したりすると落ち着かなくなる。またはイライラする。

(3) ギャンブルすることを制限しよう、減らそう、またはやめようとしたが成功しなかっ   たことがある。

(4) しばしばギャンブルに心を奪われている(例:過去のギャンブル体験を思い浮かべたり、次のギャンブルのハンディ付けや計画を考えたり、ギャンブル資金の工面策を考えるなど、いつも絶えずギャンブルのことを考えている。

(5) 苦痛の気分(無力感、罪悪感、不安、抑うつ)のときにギャンブルをすることが多い。

(6) ギャンブルの負けを取り戻そうとして次の日にギャンブルに戻ることがある。(負けたお金の深追いをする)

(7) ギャンブルへののめり込みを隠すためにウソをつく。

(8) ギャンブルによって重要な人間関係、仕事、教育、または職業上のチャンスを危険にさらし、失ってしまったことがある。

(9) ギャンブルによって引き起こした絶望的な経済状態を免れるために、他人にお金を出してくれるように頼んだことがある。

B 以上のギャンブル行動は躁病エピソードではうまく説明できない。 

 ギャンブル障害程度:

 軽度:4から5項目の基準に該当。

 中程度:6から7項目に該当。

 重度:8から9項目に該当。

引用:ギャンブル依存者のタイプ分類と公共政策(2015) -グループ属性から効果的な依存問題対策を導く試み- 大谷 信盛 より「DSM-5 におけるギャンブル障害の診断基準」より

 

 なおこれらは1つの目安ですので、判断のつかない場合
一人で抱え込まず病院や保健所、精神保健福祉センターなどにご相談ください。

参考:全国の精神保健福祉センター https://www.mhlw.go.jp/kokoro/support/mhcenter.html

 また、ギャンブル依存症は「否認の病」とも呼ばれ、依存症当事者が自分が依存症と認めず治療機関等の受診を拒否する可能性もあります。その場合ご家族だけでのご相談も有効です。依存症の家族が相談することで依存症当事者がスムーズに医療機関を受診・治療がはじまるケースもあります。

2.『パチンコがやめられない』ギャンブル依存症の治療方法

 ギャンブル依存症になりパチンコがやめられないときに治療を行う機関と手段は、以下の3つにまとめられます。

①病院への通院・入院治療
 ギャンブル依存症の方には、依存症の背景にうつ病などの精神疾患やADHD等の発達障害を抱えている可能性があります。またギャンブル依存症になり、ギャンブルにとらわれることで複合的に別の精神疾患を患う可能性もあります。病院で『精神疾患や発達障害による症状』を緩和する薬物療法を行うことで、ギャンブル依存症の症状が落ち着く可能性があります。

②回復施設でのプログラム
 ギャンブル依存症回復施設に入所、もしくは通所しプログラムに取り組むことで依存症克服に取り組みます。具体的には、ギャンブル依存症回復施設に入所し、規則正しい生活を送り、認知行動療法等を受けることができます。この過程を通して、徐々に『ギャンブルをやりたい』という衝動が少しずつ減っていくでしょう。

③自助グループへの参加
 『共通の悩みや困り感を抱えた人が集まり語りあう場』を自助グループといいます。自助グループには、依存症等の悩みを抱えた当事者や依存症を克服した元依存症当事者の行う『依存症の方のための自助グループ』もあります。例えば、アルコール依存症の方の自助グループにはAA(アルコホーリクス・アノニマス)といい、依存症本人が匿名で参加でき、『アルコールをやめたいけどやめられないつらさ』など自分の本音を語り、互いを理解しあい、互いを支えあうことで問題の克服をお互いに助けあいます。
 自助グループに参加することで、『やめたいけどやめられないつらさ』などの本音を語り、周囲から理解してもらえることで少しずつ自分の気持ちを周囲に伝えることができたり、少しずつ自分の気持ちを整理することができ、これらは依存症克服に役立ちます。弊社でも自助グループについてまとめています。よければ参考にしてください。 

参考リンク:『依存症の治療・回復を目的とした自助グループとは』

http://human-alba.com/2018/10/07/12/

 

 以上主な治療方法についてご紹介しました。なお、依存症は「心と脳の病気」とも言われ、継続して治療することが大切です。ご自分の症状や性格に合う治療機関や回復施設等を上手に利用しながら、「依存症克服」のためにできることを続けていきましょう。
 

3.『パチンコがやめられない』ギャンブル依存症の再発防止策

 パチンコ依存症の治療では、再び依存状態に戻らないように日々の生活でも気を付けていくことが大事となっていきます。上記でもお伝えしたように、依存症の治療は継続し続けることが大切だからです。
 

 それでは再発防止策としてどのようなものがあるのでしょうか?

 

 一例として現在では、「自分の居場所となるコミュニティを見つける」「パチンコを楽しいと思わなくなるような心理状態を頭に植え付けていく」などが実際の取り組みとして採用されているケースがあります。

また、「そもそもパチンコ店に近づかない」ということも再発防止策としては非常に有効です。

依存症は意志の問題でコントロールできるほど容易なものではありません。

レモンを見ると唾液が出るように、一度、依存症を経験するとパチンコ店に近づいただけでも、再発に繋がる可能性は常にあります。

再び依存症に戻らないためにも、依存対象を視野にいれないようにすることが大きな解決策になり得ます。

4.パチンコへの依存を克服するために周囲の人間ができること

 依存症の克服をする際周囲のサポートも欠かせません。依存症は仮に本人が抜け出したかったとしても、1人ではほぼ回復不可能だからです。

 依存症当事者は依存症になる前から、「生きていることがしんどい、むなしい」などの「生きづらさ」を抱えているケースがあります。そのため、当事者は依存症から抜け出したとしても、元々の「生きづらさ」のせいで「依存対象や物質なしで生きていくことがしんどい」と感じる可能性があります。当事者の「生きづらさ」を少しでも軽くするためにも当事者以外の家族をはじめとする周囲のサポートが必要です。

ここからパチンコ依存症当事者の家族ができることを3つお伝えします。

①依存症の知識を身につける
 実際にアルバに相談にいらっしゃる依存症当事者のご家族は「自分のせいで家族は依存症になったのではないか?」などと罪悪感を持っていらしたり、「家族がかわいそうだから」と尻ぬぐいをするケースがあります。しかし依存症は誰のせいでもなく「心の病」です。
そして、と尻ぬぐいをしてしまっては、依存症当事者が「自分は依存症だ」気づくきっかけを奪ってしまいます。
依存症の家族を救うために、まずは依存症の知識を身につけてください。そうすることで、依存症の家族であるあなたが過度に落ち込むことが減り、罪責感を持つことが減るでしょう。また家族への接し方等も学べます。
弊社でも依存症のコラムを執筆しています。参考にしてください。
依存症コラム:http://human-alba.com/category/column/

②自助グループ等に通う、相談機関で相談をして家族が孤立化しない
 2つめに自助グループ等に通ったり、相談機関にかかることも重要です。ギャンブル依存症の家族が通える自助グループに「ギャマノン」という自助グループがあります。この自助グループはギャンブル依存症当事者の家族・友人のための自助グループで、お互いに悩みを語り合い支えあえます。互助の関係を通して、依存症の家族が「自分一人じゃない」という安心感を持てるのです。
また、パチンコやギャンブル依存症の場合、借金等の問題が2次的に生じている可能性もあります。これらの問題を消費者センターや法テラスなどで話し合うことで、金銭的なストレスが軽減されるでしょう。

③家族であるあなたも元気でいる
 最後に家族も元気でいることが重要です。依存症の家族のあなたは日々ストレスにさらされているかもしれません。借金の肩代わりをしたり、当事者の会社に欠勤の電話をいれるなどもあり、知らず知らずのうちに無理していることでしょう。
まずは自分のケアをしてください。具体的には、ゆっくり休む、おいしいものを食べる、音楽を聴いて癒されるなど自分が「心地よい」と思えることをしてください。
「それどころではない」と思いがちですが、依存症の回復には時間がかかります。明日の力を得るために、家族であるあなたが「幸せだな」と思うことをして、どうか元気でいてください。

5.まとめ

    • ①パチンコへの依存は、ギャンブル依存症の一種です。
      「パチンコをするために会社や学校に行けない、パチンコがやめられない」場合パチンコへの依存が高くギャンブル依存症の可能性があります。
    • ②パチンコへの依存の治療方法として、病院に受診しカウンセリングなどの治療を受けること、自助グループ等に通うことがあります。また依存症回復施設に通い、認知行動療法などのプログラムを受けるなどの方法もあります。

    • ③家族などの身の回りの方々ができることとして、「依存症の知識を得る」「第三者に相談する」、「家族自身も元気でいる」ことがあげられます。

ギャンブル依存症は心の病気です。

私たち、ヒューマンアルバでは依存症回復に向けた無料相談を行っています。そこでは、依存症の当事者やその家族として依存症を体感した経験を持つスタッフが依存症の方やご家族一人一人に寄り添った対応を行なっています。
・パチンコがやめられないの家族に治療してほしいんだけど…。
・不安、怖い。誰か助けてほしい。
どんな小さなお悩みも、あなたの意見を尊重しながら、回復に向けて共に歩んでいきます。
お気軽にご相談ください。

お問い合わせはこちらから: 
http://human-alba.com/contact/
ヒューマンアルバ
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参考:

パチンコ店における依存(のめり込み) - 日本遊技関連事業協会

久里浜医療センター:病的ギャンブリング(いわゆるギャンブル依存)治療部門開設のお知らせ

http://www.kurihama-med.jp/gamble/

もしかして『ギャンブル依存症?』- 京都市こころの健康増進センター-

http://kyoto-kokoro.org/wordpress/wp-content/uploads/leaflet/kokoronokenkou_series06.pdf

ギャンブル等依存症でお困りの皆様へ

http://www.caa.go.jp/policies/policy/consumer_policy/caution/caution_012/pdf/caution_012_180330_0001.pdf

ギャンブル依存とたたかう(2004) 帚木 蓬生  新潮選書

ギャンブル依存者のタイプ分類と公共政策(2015) -グループ属性から効果的な依存問題対策を導く試み- 大谷 信盛

ライター:松友萌