2018/10/07

依存症のメカニズム|依存してしまう原因とその対策とは

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依存症は、ご存知ですか?

何かをやめたくてもやめられない状態のことが依存症だ、と

認識している方は多いと思いますが、

ではそうなってしまう原因はどこにあるのでしょう。

このコラムではそのメカニズム・原因について説明をしています。

 【目次】

 

1 依存症のメカニズムとは

 

依存症とは依存対象の使用をやめたくてもやめられない状態のことを指します。

では、何故人は依存症に陥ってしまうのでしょう?

その答えは脳の「脳内報酬系」と呼ばれる部位の機能異常です。

脳内報酬系は人の快感を司る機能であり、そこでドーパミンという神経伝達物質が放出されることで人は気持ちよさや多幸感を感じるのです。

 

この機能は例えばギャンブルをして勝利した際などにも活動します。

非常に多くのドーパミンが放出され、脳内報酬系はこの時に「ギャンブル=快感」と認識し、その後同じ行為をするよう強く求めるようになります。

これが依存の始まる第一歩です。

 

また、切っても切り離せない依存症とドーパミン物質の関係についてより詳しく知りたい方は

ドーパミンに関する詳細記事もご確認ください。

 

2 依存症の種類

 

依存症の種類は大きく3種類に分けられます。

 

1、物質依存

体内に取り入れた何らかの物質が脳の中枢神経に作用し、慢性的な摂取が続いたことにより「やめようとしてもやめられなくなった」状態です。

精神的にだけでなく、身体的にも身体の震えや発汗、幻覚などの影響が出るため、依存のうち最も注意が必要と言われています。

下記の種類が主なものです。

 

・アルコール

アルコールには神経伝達物質のバランスを崩す機能があり、定期的に大量のお酒を飲むと、脳のシナプスがコントロール不可能になり、落ち着かなくなり依存状態に陥ります。

・薬物(覚せい剤・コカイン・合成麻薬・大麻・シンナーなど)

薬物に含まれるアヘン・ヘロイン、コデイン、モルヒネといった物質が依存の要因です。

上記中毒物質は脳で自然に発生する神経伝達物質のふりをしてなりかわり、自然発生する神経伝達物質の量を変化させる(放出要求を増加させる)ため、依存状態に陥ってしまいます。

薬物依存の依存度は高く、一度手を出してしまっただけで強い欲求に襲われます。

・処方薬・市販薬

薬によって異なりますが、薬であればすべてに依存のもとになる物質が含まれており、決められた用法や容量を守らなかった際に依存症に陥る原因となります。

・たばこ

たばこに含まれるニコチンがドーパミンを大量放出させる働きを持ち、依存に陥る原因となります。

・カフェイン

カフェインは脳内の疲労を司るアデノシンという物質の活動を阻害し、その人にすっきりとした気持ちを感じ、依存に至る原因となります。

 

2、非物質依存

非物質依存とは、特定の行為などから得られる刺激や安心感にのめりこみ、

やめられなくなって、日常に支障を生じている状態をさします。

下記の種類が主なものです。

 

・ギャンブル

「賭ける」「勝つ」「緊張感を感じる」時に脳内報酬系が活動するのが原因で陥ります。

「勝つ」以外にもドーパミン放出ポイントが多くあるため、

勝敗に関係なく依存状態に陥ってしまうのです。

・過食・拒食・ダイエット

第二次世界大戦中のミネソタ大学の実験結果によるとダイエットによる一時的な飢餓状態は食欲をコントロールする脳内の視床下部に混乱を与えます。この混乱を正常化させるために人は過食・拒食行動を起こします。

・買い物・浪費

「買う」という物質的に満たされる行為の脳内報酬系への刺激により、依存に陥ります。

この際、何を買うかは問題になりません。

・インターネット

インターネット上のコンテンツは人を夢中にさせるように作られています。そこで人は気軽に手に入る情報やコンテンツに快感を覚え、ドーパミンが発生され、依存に近づくというメカニズムです。

・自傷行為

自傷行為をした瞬間、脳内で内因性オピオイドという辛い感情を緩和させる興奮物質が放出されることが依存の要因です。

・放火

心理学者のフロイトによると火の放出する温かさは性的興奮状態と同様の感覚を喚起し、その際に放出されるドーパミンが依存に陥る要因です。

・窃盗

盗みたいという衝動により対象行為時は緊張感を味わい、成功時に開放感・満足感を得るという脳への感情の刺激が依存症に陥るきっかけです。

・恋愛・セックス

「他人と恋愛関係でいる時」「セックスで興奮している時」に脳内報酬系が快感を感じ活動します。それだけでなく「好きな人のことを考えている時」「魅力的な人出会ったとき」「好ましい人のSNSをチェックした時」も同じ状況となり、この刺激の連続がドーパミン放出のきっかけとなり依存に陥るメカニズムです。

 

参考:行為依存とは|特定非営利活動法人アスク

 

3、共依存

共依存とは、人間関係そのものに依存するという嗜癖です。

下記の種類が主な種類です。人間関係の種類によって分けられます。

 

・恋愛関係・親子関係・友人関係 など

共依存のメカニズムは、人が身近な他人に気をかけすぎる、というシンプルな心理状態から始まります。共依存に陥る人は自分自身を大切にしたり自分自身の問題に向き合ったりするよりも、身近な他人(配偶者、親族、恋人、友人)の問題ばかりに気を向けてその問題の後始末に夢中になります。

その心理的背景には「他人をコントロールしたい」「自分がいなければこの人は何もできないと思いたい承認欲求」などが存在し、この気持ちが満たされる瞬間に脳の報酬系が快感を感じ、依存へ繋がります。

 

身近な人の取らなかった責任を一生懸命代わりにとり、結果、現在の困った状況を身近な他人本人が決意して解決する必要を与えず、困った状況をそのまま続けるはめになる。そしてその関係性を解消できなくなっていくのです。

 マーガレット

3 依存症にならないために

 

依存症は脳のメカニズムにより陥ってしまう病気だと説明しました。

しかし、依存症は本人が意識をどう持つかによって事前に防ぐことが可能です。

まだ依存症ではないすべての方へ向けて、ここでは依存症の事前予防のために大事なことを説明します。

 

1、依存症に対する正しい知識を身につけること

世間では依存症に対する誤解が蔓延しています。

たまたま耳に挟んだ情報を盲信してしまうのではなく、正しい知識を取り入れましょう。

私たちのHPでは依存症に関するあらゆる情報をコラムとして発信しています。

少しでも皆さんのお力になれるようわかりやすく噛み砕いた記事を執筆しています。

興味の持てるものからお読みいただけたら嬉しいです。

ヒューマンアルバ コラムページ

 

2、依存し始めていることを認識すること

依存状態の明確な境界線の定義はありません。そのため本人が依存し始めていることを認識できるかが重要です。

まずは「依存しかけているかもしれない」という物質や行為に費やした時間・使用量がどのくらいか記録をつけることが有効です。

日に日にその時間や量が増えているのであれば、依存の疑いがあります。

 

3、依存の疑いがある人を発見したら相談を促すこと

「依存症かもしれない」そんな状態を放置することで進行が進んでしまいます。

依存症の相談は各専門機関によって無料で受診することもできます。

明確な判断基準が自分だけではつけにくい依存症だからこそ、友人や知人、家族に疑いを持ち始めたら、早めの相談を心がけましょう。

 

4 依存症の回復・治療方法とは

 

すでに依存症になってしまった、または依存症の疑いのある方はこちらをお読み下さい。依存症は本人の取り組みによって克服が可能な病気です。

克服に向けて下記3つのポイントに取り組みましょう。

 

ステップ1)本人が依存症と自覚する

依存症はその本人が依存を否定するケースが非常に多く「否認の病」と言われています。

なので、まずは本人自身が依存症であると自覚し、認め、克服を決意することが第一のステップです。

依存症患者の家族の皆さんもそのためのコミュニケーションから初めてみましょう。

コミュニケーションにおいて大事なポイントは4つです。

  • 会話は友好的な調子で
  • 相手の気持ちを肯定的に受け止める
  • 相手の行動を肯定的に察して信頼を示す
  • 相手の面目が立つ具体的な解決策に議論を示す

 

ステップ2)治療に向けた取り組みをする

自覚した後は、病院と、依存症回復施設での取り組みへ足を運びましょう。

病院(精神科・心療内科)では個人、あるいは団体での精神療法を受診できます。

身体面に限らず、生活、経済、精神的なケアまで総合的なサポートを受けることができます。

しかし、病院に行くだけでは精神的に依存状態からの脱却はできません。

もっとも大事なステップは「依存状態の危険性を自覚し、短絡的な快感を求めない(脳の欲求に負けない)強い意思を持つこと」です。

そのためには依存症経験者との交流、新しい生き方の模索をすることが大事であり、自助グループといった経験者による取り組みに参加することも必要です。

 

ステップ3)家族ぐるみで周囲がサポートする

依存症を克服するためには、その本人だけでなく、周囲が環境やコミュニケーション面などからサポートすることも必要不可欠です。

家族が大切にすべき本人との関わりについては「薬物依存症 家族の対応」(記事リンクを挿入)をご参照ください。

 

また、依存症問題に関しては、「家族に対する自助グループ」(自助グループの記事リンクを挿入)というのも存在します。依存症は本人が立ち直るだけでなく、周囲の人の意識・行動変化も必要な要素なのです。

 

5 まとめ

 

    • ①依存症は依存対象の使用をやめたくてもやめられない状態であり、依存物質による脳内報酬系の機能異常が発生の原因です。
    • ②依存症は3種類に分けられます。アルコールやたばこ、薬物などの物質依存。ギャンブルやインターネットなどの非物質依存。そして、他者との関係性に依存する共依存です。いずれもその途中に脳内報酬系異常が起こるメカニズムを含有しています。
    • ③依存症予防のためには、正確な知識を身につけ、依存の初期状態を認識し、早めの相談を心がけることが重要です。
    • ④依存症から回復するためには依存症の自覚・適切な期間での診断や取り組み・周囲からの回復サポートという3つの要素を意識し、行動することが重要です。

 

依存症の回復に向けて、私たちヒューマンアルバも回復プログラムを提供しています。

どんな小さなお悩みも、あなたの意見を尊重しながら、回復に向けて共に歩ん

でいきます。

相談の際には、必ずあなた、またはあなたの大事な方の回復の一歩のために力を尽くします。

どうぞお気軽にご相談ください。

 

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参考:2018年10月15日

特殊な依存―共依存とは

知っておきたい依存症のメカニズム

東京都人権開発センター

ハートクリニック

依存症 家族を支えるQ&A 西川京子 解放出版社

依存症のすべてがわかる本 渡辺登 講談社

ライター:宮口まりこ