2018/04/16

アルコール、薬物等依存症と重複障害

重複障害についてご存知でしょうか?
「1人の人に、2つの障害が同時にあること」を重複障害と呼びます。
具体的には、つらいトラウマ経験をし、PTSDという精神障害を発症、その苦しみから一時的に何かにすがりたくて依存症になってしまうケースがあります。
逆にアルコール依存症等になった後でうつ病を併発するケースもあります。こちらはアルコール依存症とうつ病の重複障害です。
どちらの場合も、重複障害をもつ当事者は「依存症になる前」も「依存症になった今」も苦しんでいることでしょう。
このコラムでは依存症と重複障害の原因と治療法についてご紹介します。

 

目次

 

1重複障害とはー重複障害のきっかけと研究データ

厚生労働省では、重複障害を「視覚障害・聴覚または平衡機能障害・音声・言語または咀嚼機能障害・肢体不自由障害・内部障害・知的障害・精神障害などの障害を2つ以上を併せ有する」と定義しています。

重複障害となるケースの中には「依存症と精神障害を併発するケース」があります。精神障害の具体例として、統合失調症、躁鬱病、パニック障害、PTSD(心的外傷後ストレス障害)など)などがあります。
重複障害は依存症単独のケースに比べて,依存症症状や精神疾患の症状が悪化したり,治療脱落し、治療を継続できないなどのリスクを高めます。
といいますのも、依存症の症状自体も、依存症当事者にとって苦しいものです。例えば依存症の症状には「やめたいけどやめられない」という焦燥感があります。またアルコール依存症や薬物依存症等のような物質依存の場合、特定の物質を摂取し続けることで体が傷つきます。その上、それ以外の精神障害を併発することで、当事者はより苦しみ、治療する意欲さえわかなくなる程つらくなるのでしょう。

では、なぜ依存症と精神障害は併発し重複障害となるのでしょうか?

精神障害を発病した後にアルコール大量摂取、薬物の乱用を始める人がいます。
最新の研究でも、精神障害を持つ人は、精神障害でない人に比べると、アルコール・薬物依存になりやすいことが知られています。
その理由の1つに、精神障害で生じる「不安・ストレス・不眠・幻聴幻覚や妄想」といったつらい症状を精神障害者が自分なりに何とか和らげようとし、アルコールや薬物を摂取・乱用してしまうからだと言われています。

反対に、薬物等を使用しているうちに、その後遺症としてうつ病等の精神障害を併発する可能性があります。

近年、依存症治療において、このように重複障害をもつ患者さんがいることが知られはじめ、研究も進んでいます。具体的に、精神科医の方々が重複障害について研究したデータでは、依存症で入院1年半で退院した患者のうち、50%以上が精神障害を併発し、その内16%が統合失調症だったと報告されています。この研究では、「依存症になり、依存症特有の症状からからうつ病や統合失調症を発症した」のか、「うつ病や統合失調症、不安障害等の障害の症状から逃れるために特定の物質や行為に依存した結果依存症になった」のかはわかりません。しかし、これらが複合的に絡み合い、治療をさらに難しくします。そして依存症当事者は苦しみ続けます。

2依存症の重複障害の治療法

ここまで依存症の重複障害について研究データを交えつつご紹介いたしました。
続いて、治療法についてご紹介します。

前提として、ご本人が抱える精神障害の症状が悪化して精神状態が辛いときには、自分ひとりで何とかすることは難しく治療のためには、第三者を頼ってください。具体的には病院の精神科やクリニック、保健所、精神保健福祉センターなどです。

さてここから、主に病院で取られる治療法についてお伝えします。

1薬物治療

重複障害になり、依存症と他の精神障害を併発する場合も、依存症だけの治療にとどまらず併発する精神障害を治療する必要があります。具体的には投薬治療を行い、併発する精神障害を緩和させるなどの治療が取られることが多いです。精神障害、例えばうつ病等の気分の落ち込みを緩和させるために投薬治療を行うなどが挙げられます。この治療によって、依存症と併発する精神障害が緩和され、依存症当事者が少しずつ気持ちが楽になっていくでしょう。

2認知行動療法

2つめに認知行動療法が挙げられます。認知行動療法とは、病気の症状等や問題行動を改善するために、非適応的な行動パターンや思考パターンを変えていく治療法を言います。精神障害をお持ちの方は思考パターンにゆがみがあるといわれています。その思考パターンのゆがみに気づき、検討し、修正していくことで行動やその時の気持ちを変えることができるといわれています。

3自助グループ

集団心理療法の1つと言われるのが自助グループです。自助グループとは摂食障害、依存症等の障害や病気など、同じ病気を持つ者同士が互いに励ましあい、支えあいながら、様々な形で克服していくためのグループです。自助グループで、互いに自分の気持ちを語り合うことで、今まで抱えていた苦しみがほんのすこし癒されるかもしれません。また、同じように悩む仲間との出会いを通して、自分は一人でないと実感し安心する可能性もあります。

このようにいくつかの治療がありますが、依存症当事者の症状や状況に合わせて、また治療プログラムを組み合わせて治療が進んでいきます。

3まとめ

  • ①重複障害とは、1人の人が、2つの障害(例えば物質依存症に加えてうつ病を併発しているなどです。)を同時に抱えることを言います。
  • ②重複障害になると、その人もしくはその家族内で解決しようとも、症状の改善は難しいです。第三者を頼ってください。
  • ③重複障害の治療は、依存症の治療だけでなく併発した障害の治療も合わせて行います。

依存症は心の病気です。
依存症になる前から、苦しさを抱え生きづらさを抱えていたことでしょう。そして、心の痛み・苦しみに耐えられなかったからこそ、本人は依存行動を繰り返し依存症に陥ってしまったのです。
依存症を克服することは簡単ではありませんが、適切に第三者を頼ることで可能です。そして依存症を克服する過程で依存症当事者は少しずつ生きやすくなっていくでしょう。

私たち、ヒューマンアルバでは依存症回復に向けた無料相談を行っています。私たちの施設では依存症の当事者やその家族として依存症を体感した経験を持つスタッフが依存症の方やご家族一人一人に寄り添った対応を行なっています。

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参考文献:
中田  行重(2011)わが国におけるアディクション臨床の現在についての 文献研究
池田朋広・森田展彰・梅野充・稲葉淳子(2010)精神病性障害と物質使用障害の併存性障害についてー精神病性併存性障害3症例への考察―.精神科治療学.25(5).573-581
うつやパニックなどをもっているアルコールや薬物依存症の人への対応についてー回復者施設職員向け依存症重複障害対応マニュアルー
重複障害―久里浜アルコール症センター
重複障害

ライター:松友萌