2018/03/29

アルコール依存に悩む家族が、できることは?

アルコール依存に悩む家族が、できることは?

アルコールや薬物、ギャンブルなどに依存している方をもつ家族の悩みとして、「やめさせたいが、本人にその気はない。どうすればいいのか?」というものがあります。

 

まず、依存症は否認の病ともいわれます。否認のスタイルとして大きく2つあり、1つは、「私はアルコール依存症ではない!」というものです。

人は基本的に、自分に都合の悪いことは否定します。

※都合の悪いこととは、「アルコール中毒者」というレッテルを世間から貼られてしまうことの嫌悪感、自分が快感に浸ることのできるお酒が飲めなくなるという恐怖感、などを指します。

 

二つ目の否認は、「私はお酒さえ飲まなければ何も問題ない」というものです。

すべては酒のせい・その酒さえ断てば一件落着する、と考えているパターンです。

自分が「お酒を飲まずにはいられない」原因を見つめ直すことは本人にとっては辛いことであり、認めないというよりは「認めたくない」という表現が実態と近い場合が多いです。

心配しているのになかなか認めず、回復支援や相談の場に行くことに強く抵抗します。

 

家族としては、本人が決断するまで、じっと我慢するしかないのでしょうか?

 

当社では、ご本人が治療/回復支援の場につながるためにできることは少なからずあると考えております。

以下の5つのステップに分けて、ご家族ができることを見ていきましょう。

 

STEP1.本人が置かれている状況を整理する

STEP2.家族が安全な状態を確保する

STEP3.本人への接し方/コミュニケーションを変える

STEP4.家族自身が幸せになることを考える

STEP5.「一緒に回復しよう」と提案する

 

 

STEP1.本人が置かれている状況を明確にする

 

■①きっかけは何か?

ご本人は、何がきっかけで飲酒・薬物の使用・ギャンブル行為を始めるのでしょうか?

(あるいは、どんなことがあるとストップがきかなくなるのでしょうか?)

 

以下に挙げる例を参考に、まずは整理してみましょう。

例:

・眠れないとき

・心配事があるとき

・翌日が休日のとき

・家族とケンカしたとき

・お金が余っているとき

・疲れたとき

・職場でトラブルがあったとき

 

※「きっかけなんかなくても、毎日飲みに行っている」といった場合でも、ご本人にとって飲酒・薬物使用・ギャンブルの理由になりやすいものがないか、考えてみましょう。

 

 

■②アルコール・薬物・ギャンブルにより被害/損失は何か?

依存症は本人だけでなく、ご家族、周囲に影響が及んでいきます。

ここでは、依存症をほうっておくとどのような被害/損失があるか、改めて整理しましょう。

 

例:

・仕事を失う

・暴力をうけるかもしれない(既に受けている人は、エスカレートする可能性)

・近所での評判が悪くなる

・(お子さんがいる場合は)子供の成長によくない

・経済的な問題(借金など)

・逮捕される

 

 

■③アルコール・薬物・ギャンブルの摂取/行為によるトラブルのパターンを把握

アルコールなどの依存症者を抱える家族では、日々、同様のトラブルが発生していることが多いです。

以下の例を見てみましょう。

 

[トラブル内容]

夫が飲酒運転で逮捕された

[経緯]

・「今日は早く(20時)帰る」と約束したにもかかわらず、23時に帰ってきた

・私(妻)は夕食を作って待っていたのに、無駄になった。

・いつもは我慢しているが、この日は我慢できず、夫に「なんで約束を守らないの!」と怒鳴った

・その後も続けて夫に文句を言っていたら夫が急に怒りだし、家を飛び出した

・結局夫は飲酒運転でコンビニ酒を買いに行き、途中で捕まった。

このように簡単でよいので、直近のトラブル内容を整理してみましょう。

 

 

■④対応を変えてみる

 

③で整理した内容について、「どのようにしたら、トラブルになることはなかったか?」を考えてみましょう。

再び、先程の例を挙げて、考えてみます。

 

[目指したい結果]

夫が翌日、通常通りに出勤すること

[予想される展開]

・「今日は早く(20時)帰る」と約束したにもかかわらず、23時に帰ってきた

・私(妻)は夕食を作って待っていたのに、無駄になった。

・いつも約束を守ってもらえないので怒りたかったが、「怒っても問題が変わるわけでもない」と自分に言い聞かせ冷静になり、「夕飯はどうする?」「帰りが遅くなると心配するから、連絡してもらえると嬉しいな」と声を掛ける。

・夫も「うん、悪かった」と返事し、その日は休んだ。(翌日、時間通りに出社)

 

「なんであなたは(お前は)そうなんだ!!」と相手を主語にして畳み掛けるのではなく、「自分は心配している」「そうしてもらえると嬉しい」といった、自分を主語にした言葉掛けをしてみると、相手の反応・対応が変わってくると思います。

 

上記は簡単な例ですが、③で整理した内容を元に、「どうすればよかったか?」考えてみましょう。

 

※一回でうまく行かなくても構いません(むしろ、その場合のほうが少ないです)。

何回も試してみるうちに、本人にとってもご家族にとっても良い対策が見つかるはずです。

 

次に、【STEP2.家族が安全な状態を確保する】を見ていきます。